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イラスト詩歌「ユメカサゴ」吉原幸子
「ユメカサゴ」 吉原幸子

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ユメにみられる魚なのか

ユメをみる魚なのか


大きな水槽には

色とりどりの熱帯魚がひらめいて

ユメのようにうつくしかった

けれど その中に

ユメという名のついた魚は

ぜんぜんいない


そいつは小さな水槽の底に沈んで

からだと同じいろの岩にあごをのせたきり

動かないでいた


口をへの字にむすんで

黒いまるい眼で遠くをみて

まばたきもせずに

(これは当り前だが)


そいつは

ユメのようにうつくしくはなかったから


きっと

ユメをみていたのだ




詩集『魚たち・犬たち・少女たち』より



吉原幸子さんの作品は著作権保護下にありますが、全文をこちらにご紹介させていただきました。








by loopmark1210 | 2020-11-29 21:11 | イラスト詩歌
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