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怒りをねぶたの背に乗せて
どうしても許しがたいことがあり、これをどうにか処理せねばならんと思った
許しがたいこととは、なにも劇的なことではなく、
悲しいくらいに礼儀を欠いたやり取りの渦中に、ふいに置かれたというだけだった
向こうからしたら、飛んで火に入る夏の虫とばかり
ちょうど良かっただろう
そういう対象を探している人は、悲しいことだがいるものである。

わたしはわりと、怒らないようにしている方なのだけれど(エネルギーがもったいないので)
ああ、どうしましょうか、この熱は
そのうちに収まるのはわかっているけれど、けれども一気に冷ましたい
そうして思いついた。

そうだ
わたしには「ねぶた」があるではないか


気心の知れた友を誘い、急遽ねぶたを見に車を走らせた。


津軽は夏の暑さと湿気の中に、もう夏の終わりの匂いが漂い始めている
この嗅覚、いまだに無くしていなかったのだなとホッとする

そして薄暮れ、花火の音とともにねぶたが始まる。

見事
お見事
お見逸れ
まいった

壮大で美しく、他を圧倒し赤く燃えるねぶた群

髪振り乱し、敵と絡み、ひたすらに睨み付け、ぐんぐんと大道を練る、練って泳ぐ
ひとつひとつの怒りの物語
エネルギーの真っ赤な集合体
その源泉を知れない豪快さ
根拠の無い豪快さ


あーよい!
今年もねぶた、よい!


ふとさっきまで囚われていた許しがたいことが沸いた
そうだ、わたしの「許すまじ熱」もこの燃料にせんと
くべてやろう
ねぶたの背後に
ちょうど機関車に石炭をくべるように

エイッッ!!

と、心の中で許すまじの速球を投げてやった
ねぶたと目が合った(気がする

勇ましすぎるねぶたは
「そなたの怒り、しかと受け入れた!」
と言って、見事その球を受け止めた(気がする

それから、真っ直ぐ進み、
自らと、その燃える球を披露するように、人並みの中を大きくぐるりと旋回し、
人々の歓声を受けて
熱気とともに海の方へと向かっていった


あ、行ってしまった


許すまじ球は海風に冷めていき、その夜ねぶた小屋の中で静かに
粉々に砕けてしまうだろう
残るのは、脳裏に響くお囃子とハネトの鈴の音ばかり…


ああ!なんだか!
なんだか!
新しいねぶたを経験したような気がする!
人生で初めて
ハネトの汗の発散ではなく
壮大な鑑賞とともに美しく
「鬱憤を晴らしてやった!」感じがする


ねぶたのあの顔は、受け止めてくれるのだ
根拠無く
豪快に


津軽生まれのわたしには
「ねぶた」がある

それはこんなにも、頼もしいことであった。

ねぶたよ、今年もありがとう


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強い怒りを感じるで賞

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背面インド可愛すぎで賞













by loopmark1210 | 2019-08-07 12:28 | 日常記
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