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その名は、パルサー
小学生の頃、父親が乗っていた車は
日産のパルサーだった
この車のことが
わたしは本当に好きだった

当時のわたしが街で見る車、イメージする車は
一筆書きで書けるようなカクカクした
ザ・クルマ

でも、パルサーとやらは
何かが違う
なんだろ、なにが違うんだろ
なだらかなんだよな、
ああいうのなんなのかな、と母に尋ねると

うーん、と唸ってから
さっちゃんが言いたいのは、りゅうせんけいってことなのかな
と答えた。
りゅうせんけい?
なんだろうその、音色のような空気感の言葉は
漢字を教えてもらう

流線形

詩みたい
ますます素敵だ

そうか、りゅうせんけい
うちのクルマは、どうやら流線形とやらなのだ
他のクルマとは一味違うのだ
得意げになり、
わたしは一層パルサーが好きになった

ブリタニカの電子辞書で「流線形」を調べてみた
関連検索で、アール・ヌーヴォーが出てきた
ルネ・ラリックや、エミール・ガレが出てきた
ウィリアム・モリスやミュシャなども
わやわやと

なんだこれなんだこれ
手の上で
めくるめく世界に眩暈を覚えた

思えば、こういう曲線芸術に虜になったきっかけは
パルサーだったのかもしれない

わたしにとって
パルサーへの感謝は大きい
今も素敵な車だと思う

父のパルサーが老朽化して、手放したとき
あれは中学くらいだったのか
いつかお金持ちになったら
わたしがパルサーまた乗せてあげるよ
と父に言った

父は意外そうに
あ、ありがとう…
と言った
それから

「でも、お父さんずっと1番乗りたいの、スカイラインなんだよな…
お父さん、スカイラインの命名コンペに応募してたくらい
スカイラインのシルエットが好きなんだ
だから、スカイラインがいいな」

と言った。

父はいま、ボロボロの軽に乗っている。

f0228652_04042230.jpeg
すいません、過去絵再使用。(ちょうど良いのがなく


by loopmark1210 | 2019-01-26 03:42 | 日常記
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